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 ●相続時精算課税制度における相続税の計算 
相続時精算課税制度における相続税の計算
1.相続税の課税価格の計算
 相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産の価額は、特定贈与者の相続時において文字どおり課税の精算をしなければなりません。特定贈与者からの贈与財産の価額を相続時精算課税適用者の相続税の課税価額に加算して、その者の相続税額を計算するわけです。
 注意したいのは、特定贈与者の相続時に相続財産を取得したかった場合でも精算課税が行われることです。したがって、相続税の課税価格は次のようになります。
 @ 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者ーその特定贈与者からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額を相続税の課税価格に加算した価額が相続税の課税価格となる。
 A 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者ーその特定贈与者からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額を相続税の課税価格とする。
 なお、相続税の課税価格に加算又は算入される贈与財産の価額は、相続時の価額ではなく、その財産の贈与時の価額とされています。

 相続時精算課税適用者の相続税の課税価格の計算方法を図式的に示すと、次のようになります。
相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者   相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者
 相続(遺贈)財産     
 (+)    
 みなし相続(遺贈)財産    
 (−)    
 非課税財産    
 (+)    
 相続時精算課税に係る贈与財産    相続時精算課税に係る贈与財産
 (−)    (−)
 債務控除    債務控除
 (+)    (+)
 相続開始前3年以内の贈与財産    相続開始前3年以内の贈与財産
 ‖  
 課税価格   課税価格

2.相続時精算課税と相続開始前3年以内の贈与財産の加算の関係
 相続税の課税価格の計算上、相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産の価額は、贈与の時期にかかわらず相続税の課税価格に加算されます。したがって、上図の「相続開始前3年以内の贈与財産」からは「相続時精算課税に係る贈与財産」が除かれることはいうまでもありません。

3.相続時精算課税に係る贈与税額の控除
 相続税の課税価格に加算又は算入された相続税精算課税に係る贈与財産について、課せられた贈与税があるときは、その贈与税額は、その者の相続税額から控除されます。
 相続税額の計算における税額控除の適用順序については、前途したとおりですが、相続時精算課税に係る贈与税額の控除は、外国税額控除の次に行うこととされています。
 なお、相続税額から控除しきれなかった相続時精算課税に係る贈与税額はある場合は、その控除しきれなかった税額が還付され、この場合は、納税者において還付を受けるための相続税の申告書を提出することができます。
 (注)還付を受けるための申告書は、相続開始の日の翌日から5年を経過する日まで提出することができます。

4 相続時精算課税適用者の2割加算
 相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者である場合には、相続税について2割加算の規定が適用されます。相続開始時において、相続時精算課税適用者が特定贈与者である被相続人の一親等の血族に該当しない場合も同様です。
 ただし、被相続人(特定贈与者)の養子となった者がその被相続人から贈与により財産を取得して相続時精算課税制度の適用を受けた後に離縁したような場合は、その者の相続税額のうち被相続人の一親等の血族であった期間内に被相続人から贈与により取得した相続時精算課税制度の適用を受ける財産の価額に対応する相続税額については、2割加算の対象にはなりません。
 この規定により2割加算の対象にならない金額は、次の算式により求められます。

相続時精算課
税適用者の算
出相続税額   
 ×  相続時精算課税適用者が被相続人の一親等の血族であった期間内にその被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税制度の適用を受ける財産の価額の合計額  
 相続時精算課税適用者が相続又は遺贈により取得した財産の合計額  相続時精算課税適用者が被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税制度の適用を受ける財産の価額の合計額

 要するに、相続開始時においては既に養子縁組が解消されているため一親等の血族に該当せず、2割加算の対象になる者が、相続時精算課税の贈与(その贈与財産の価額はその者の相続税の課税価格に加算されて相続税額が計算される)の時点では、養子として一親等の血族であったという場合は、相続税の課税価格に加算された部分に対応する相続税については、2割加算の適用はないということです。

5 相続時精算課税制度と暦年課税方式との違い
 贈与税と相続時の課税上の取扱いについて、これまでに説明した相続時精算課税制度と暦年課税方式との違いをまとめると、次表のようになります。

     暦年課税方式  相続時精算課税制度
贈 与 時 の 課 税  贈与者の要件 (要件等なし) 特定贈与者ー贈与の年の1月1日において65歳以上である者
受贈者の要件 (要件等なし) 贈与の年の1月1日において20歳以上の贈与者の直系卑属である推定相続人
贈与税の基礎控除・特別控除 基礎控除ー受贈者1人につき年110万円 特別控除ー受贈者及び特定贈与者ごとに累積で2,500万円
贈与税の税率 基礎控除額を超える部分に10%〜50%の超過累進税率 特別控除額を超える部分に20%の比例税率
制度選択の届出 なし(届出のない場合は一般の課税方式の適用)  「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要
贈与税の申告の要否 受贈財産価額が基礎控除額以下の場合は申告不要 受贈財産価額にかかわらず申告必要
相 続 時 の 課 税  相続時の贈与財産価額の加算 被相続人からの相続開始前3年以内の贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算 特定贈与者からの贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算
相続税の課税価格の加算対象者 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者(相続又は遺贈により財産を取得しなかった者には適用なし) 相続時精算課税適用者(被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したかった者にも適用)
相続税の課税価格の加算額 加算の対象となる贈与財産の贈与時の価額 同左
贈与税額の控除 適用対象者の算出相続税額から控除 適用対象者の相続税額(外国税額控除後の税額)から控除
贈与税額の還付 贈与税額控除額が算出相続税額を超える場合でも還付なし 控除税額が相続税額を超える場合には相続税の申告により還付
相続税の課税価格の計算
相続時精算課税と相続開始前3年以内の
  贈与財産の加算の関係

相続時精算課税に係る贈与税額の控除
相続時精算課税適用者の2割加算
相続時精算課税制度と暦年課税方式との違い



 
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